わが家のベランダには、6年前から株をつないでいる「とちおとめ」があります。もともとは父が長男のために買ってきてくれた、たった1株の苗。毎年ランナーで子株を採って世代交代させながら、6年間ずっと実をつけてくれています。
今年もその苗採りの季節がやってきました。今回は「よつぼし」と合わせて8株の子株づくりをスタート。この記事では、いちごのランナーで苗を増やす手順を、実際の作業写真つきで紹介します。特別な道具はほとんど使いません。ランナーピンの代わりは、100均の園芸ワイヤーで十分でしたよ。
いちごのランナーでの増やし方|基本の流れ
ランナーとは、親株の株元から伸びるつるのことです。先端に小さな株(子株)ができて、土に触れると根を下ろします。これを利用して来年の苗を作るのが、いちごの一番手軽な増やし方です。
ポイントは、ランナーを「切る時期」と「伸ばす時期」がはっきり分かれていること。収穫中は実に栄養を回したいのでこまめに切り、収穫が終わったら今度は伸ばして苗づくりに切り替えます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 収穫中(〜6月ごろ) | ランナーは切る(実に栄養を集中させる) |
| 収穫後(6〜7月) | ランナーを伸ばして子株をピン留め ←今ここ |
| ピン留めから3〜4週間後 | 根付いたら親株から切り離し |
| 10〜11月 | 苗を植え付け |
いちごの株は年々少しずつ弱っていくので、毎年子株に世代交代させるのが長く楽しむコツです。わが家のとちおとめが6年間つながっているのも、この世代交代のおかげなんです。
苗に使うランナーの選び方

まず呼び方の整理から。親株から伸びたランナーの1番目の株を「太郎苗」、その先の2番目を「次郎苗」、3番目を「三郎苗」と呼びます。子株・孫株・ひ孫株という呼び方をする人もいます(わが家では2番目以降をまとめて「孫株」と呼んでいます)。
選び方は2段階です。
- 元気なランナーを選ぶ…葉がしおれていたり、新芽が傷んでいる子株は、もったいなくても外します
- 子株の先に「次の株」まで付いているランナーを選ぶ…先の株まで育てる勢いがある、つまりそれだけ元気な証拠です
実際、今回も傷んだ子株がいくつかあって、これらはボツにしました。数より質。ここで妥協しないのが、来年の収穫への近道です。


ちなみに昔からのセオリーでは「太郎苗は親の病気を引き継ぎやすいので避けて、次郎苗以降を使う」と言われてきました。最近はプロの解説で「太郎苗も問題なく使える」という見解も出てきています。わが家は位置にはこだわらず、元気さ重視で選んでいます。
子株のピン留め手順【写真つき】
用意するもの
- スリット鉢(3号)…側面に切れ込みが入ったポット。水はけがよく、根がぐるぐる巻きになりにくいのがお気に入りです
- 肥料を入れていない土…いちごは肥料焼けしやすいので、根付くまでは肥料なしが安心。わが家は再生土を使いました(土の再生のやり方は、また別の記事で詳しく書きますね)
- 100均の園芸ワイヤー…短く切ってU字に曲げれば、ランナーピンの立派な代用品に。専用品を買わなくて大丈夫です
- ブラックベース(鉢置き台)…鉢の下に敷くと風の通り道ができて、夏の蒸れ対策になります。害虫が鉢裏に隠れにくくなるのも地味にうれしいポイント


手順① ポットの土を水で湿らせる
子株を乗せる前に、たっぷり水をかけて土全体を湿らせます。乾いた土の上では根が出にくいので、この一手間が大事です。
手順② 子株を土の上に「置いて」、U字ワイヤーで固定する


子株はランナーにつながったまま、ポットの真ん中にそっと置きます。ここで大事なのは、埋めないこと。株の中心にあるクラウン(成長点。新しい葉が出てくる芽の部分)が土に埋まると腐りやすくなるからです。「置くだけ」でOKです。
そのうえで、U字に曲げた園芸ワイヤーをランナーにまたがせるように挿して、子株が浮かないように固定します。子株の付け根と土が密着していれば成功です。
手順③ ブラックベースに並べて完成

ピン留めしたポットをブラックベースの上に並べたら、今日の作業は完了。今回はとちおとめ5株、よつぼし3株の計8株をピン留めしました。
根付くまでの管理とこれからの予定
子株はまだ親株とつながったままです。ここで焦って切り離すのは失敗のもと。当面は次の3つだけ気をつけます。
- 水を切らさない…小さなポットは想像以上に早く乾きます。夏の育苗は水切れが大敵です
- 西日を避ける…真夏の直射日光、特に西日は小さな子株には強すぎます。風通しのいい半日陰が理想
- 切り離しはまだしない…根付く前にランナーを切ると、そこで終わってしまいます

切り離しの目安は、ピン留めから3〜4週間後。「ポットの底から根が見える」「新しい葉が増えて3枚以上になっている」が合図です。切るときは、親株側のランナーを2〜3cm残して切ると、あとで植え付けるときに実のなる方向の目印になります。このあたりは、実際に切り離すタイミングで続編に詳しく書きますね。
そして10〜11月に植え付け。うまくいけば、来年の春にはこの子たちが実をつけてくれるはずです。
増やした苗の「おすそ分け」はNG?品種ルールの注意
最後にひとつ、大事な注意を。いちごの品種には「登録品種」と呼ばれるものがあり、増やすことにルールが決められています。
- よつぼし…現役の登録品種。家庭菜園で自分が楽しむために増やすのはOKですが、増やした苗を人にあげるのは有償・無償を問わずNGです
- とちおとめ…品種登録の期間が終わった一般品種なので、自由に増やせます
「たくさんできたからご近所さんにも」とやりたくなりますが、よつぼしの苗はぐっと我慢。苗のラベルに「登録品種」や「PVP」の表記がある品種は、同じルールだと思っておくと安心です。
まとめ|選んで、置いて、留めるだけ
いちごのランナーでの増やし方を振り返ると——
- 収穫が終わったらランナーを伸ばして苗づくり開始
- 元気な子株だけを選ぶ(傷んだ株は思い切って外す)
- 肥料なしの湿らせた土に「置いて」、U字ワイヤーで固定
- 根付くまで切り離さない。水切れと西日に注意
作業自体は「選んで、置いて、留めるだけ」。父が買ってきてくれた1株から始まったわが家のとちおとめも、この方法で6年つながっています。次回は切り離しと、その後の様子を報告します。お楽しみに!


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