「あと2〜3日で赤くなりそう」——そう思って収穫を待っていたパプリカが、次に見たときには虫に食われて腐り、地面に落ちていました。
わが家では4月22日に「トマトパプリカ」の苗を植え、ずっと楽しみに育ててきました。それが植え付けからちょうど100日目に落果。さらに3日後の豪雨で枝がポキッと折れて、正直「もうパプリカは作らない」と気力がゼロになりました。
ただ、あとから調べてみると、この2つの失敗にはどちらもはっきりした理由がありました。しかも、同じ日に植えた隣のピーマンは、同じ豪雨でも折れなかったんです。この記事では、その原因と「こうすればよかった」を、写真つきで正直にまとめます。
パプリカの実が腐って落ちた。あと少しで赤くなるはずだったのに
まず見ていただきたいのが、落ちていた実の写真です。

ほとんど赤く色づいていて、あと2〜3日待てば収穫できたはずの実でした。それが、へたの近くがぐずぐずに茶色く崩れ、地面に落ちていたんです。
拾い上げてよく見ると、こんな状態でした。

犯人は「タバコガ」。穴が1つなら、まだ中にいる
よく見ると、実の横腹に小さな穴がぽつんと1つ開いていました。この穴が犯人の手がかりです。
調べたところ、これはタバコガ(オオタバコガ)という蛾の幼虫の仕業でした。ナス科の野菜——ピーマン・パプリカ・トマト・ナスを好んで狙う害虫です。
この虫のやっかいなところは、葉っぱをかじるのではなく、実に穴を開けて中に入り込み、内側から食べることです。外から見ても分かりにくく、気づいたときには中がスカスカ。そして穴のまわりから腐り始めます。
見分け方で覚えておくと便利なのが、穴の数です。
- 穴が1つ=入った穴だけ。幼虫はまだ実の中にいる可能性が高い
- 穴が2つ=入った穴と出た穴。幼虫はすでに脱出したあと
わが家の実は穴が1つでした。つまり、あの中にはまだ犯人がいたということになります。知らずに草むらに転がしたままにしていたので、これは完全に私のミスでした。
「腐る=カルシウム不足」だと思い込んでいませんか
パプリカが腐る話を調べると、ほとんどのページで尻腐れ症(カルシウム不足で起こる生理障害)の説明が出てきます。私も最初はこれを疑いました。
でも、この2つは見分けがつきます。
| 症状 | 尻腐れ症 | タバコガの食害 |
|---|---|---|
| 場所 | 実のお尻(先端) | 実の横腹やへたの近く |
| 穴 | 開かない | 丸い穴が開く |
| 見た目 | 黒っぽく平たくへこむ | 穴のまわりから茶色くぐずぐずに |
| 原因 | カルシウム不足・水切れ | 虫(蛾の幼虫) |
わが家の実は、お尻ではなくへたの近くが崩れていて、しかも穴つき。カルシウム不足ではなく、虫でした。腐っている場所とお尻を見比べるだけで判断できるので、同じように悩んでいる方はまず穴を探してみてください。
ちなみにミニトマトの尻腐れは去年わが家でも経験していて、そのときの対処法は別の記事にまとめています。お尻が黒くなっていた場合はこちらが参考になります。

なぜ「あと2〜3日」が一番危なかったのか
ここが今回いちばんの学びでした。
パプリカは、緑の実が完全に色づくまでに約3週間かかります。開花からだと60〜70日。ピーマンが緑のうちに収穫できるのに対して、パプリカはその約3倍の期間、実を木につけたまま待たなければいけません。
そして、タバコガの発生が増えるのは8〜10月。わが家の被害は7月の終わりでした。まさに、虫が増え始める時期と、実がいちばん無防備に熟すのを待っている時期がぴったり重なっていたんです。
「もう少しで赤くなるから、あと2〜3日待とう」——この判断そのものが、パプリカでは一番リスクの高い選択だったわけです。ピーマンなら緑で採ってしまえば終わりなのに、パプリカは待つことが前提の野菜。だから難しいと言われるんだな、と腑に落ちました。
正直に書くと、肥料も切らしていました
もう一つ白状しておきます。最後に追肥したのは、落果の1か月ほど前でした。
理由は単純で、手持ちの肥料をナスとスイカに使い切ってしまい、買い足しに行かないままだったからです。パプリカはなかなか色づかないので、正直あまり期待していなかった、というのも本音です。
パプリカは実を大きくするのにも、色をつけるのにも大量の栄養を使います。2〜3週間に1回の追肥が目安とされているので、1か月空いたわが家は完全に肥料切れの状態でした。
今回の直接の原因は虫ですが、株に力がなければ実を守る体力も落ちます。「期待していない野菜ほど後回しになる」——これも失敗の一因だったと反省しています。土づくりや肥料の基本については、こちらの記事にまとめています。

次にやるなら、この3つ
- 色づき始めたら、実を毎日見る。穴が開いていないかのチェックだけなら10秒で終わります
- 被害にあった実は、その場に放置しない。中に幼虫がいると、そのまま土に潜って次の世代になり、残った実も狙われます
- 色づき期は防虫ネットで覆う。成虫の蛾が飛んできて卵を産むのを物理的に防ぐのが、いちばん確実です
2つ目について白状すると、わが家はしばらく草むらに転がしたままにしていました。中に犯人がいると知ったのは、この記事を書くために調べたあとです。
気づいてからどうしたかというと、とてもきれいに、全体的に踏みつぶしておきました。袋に入れて捨てるのが本来のやり方ですが、100日待たされた恨みもあったので、つい。中の幼虫ごと確実に仕留められるので、これはこれで有効な方法です。
3つ目の防虫ネットについて補足すると、タバコガの成虫を防ぐには目合い4mm以下のものを選びます。株のまわりに支柱を立てて、上からすっぽりかぶせる形です。手間はかかりますが、色づきを待つ3週間だけでも守れれば、結果は変わっていたかもしれません。
わたしが次に使うなら、こういうプランターごとかぶせるタイプです。網目が約1mmと細かいので、タバコガの成虫はもちろん、アブラムシもかなり防げます。ファスナー付きで、収穫のときに開け閉めできるのも助かりそう。
追い打ちの豪雨。実の重みで枝がポキッと折れた
気力が失せたところに、追い打ちがきました。
落果から3日後、バケツをひっくり返したような豪雨が降りました。雨がやんでから畑を見にいくと、実が4つもついた枝が、根元からぱっくり折れて垂れ下がっていたんです。

折れた枝を手で持ち上げてみて、「こんなに実がついていたのに」と思わず写真を撮りました。そのくらい、しっかり育っていた枝でした。
同じ日に植えたピーマンは、折れなかった
ここで不思議なことが起きています。
パプリカのすぐ隣には、同じ4月22日に植えたピーマン(若穫りライムホルン)があります。同じ花壇、同じ豪雨。ピーマンも同じように手前に倒れ込んでいました。

でもピーマンの枝は折れていなかったんです。起こして支柱に結び直したら、そのまま元気に実をつけ続けています。
この差はどこから来たのか。調べてみて、パプリカのほうが折れやすい理由がはっきりしました。
| ピーマン | パプリカ | |
|---|---|---|
| 実1個の重さ(目安) | 約30g | 約120g |
| 実がついている期間 | 短い(緑で収穫) | 長い(色づくまで約3週間) |
| 枝への負担 | 小さい | 重い実が長期間ぶら下がる |
実1個の重さは、ピーマンが約30gなのに対してパプリカは約120g。およそ4倍です。わが家の「トマトパプリカ」は果肉が厚いジャンボタイプなので、さらに重かったかもしれません。
つまりパプリカは、ピーマンより重い実を、ピーマンより長い期間、枝にぶら下げ続ける野菜です。折れた枝には実が4つついていたので、それだけで500g近い重さが1本の枝にかかっていた計算になります。そこに雨で濡れた重みが加わり、風で揺さぶられれば、細い枝は耐えられません。
パプリカの育て方を紹介するページに「支柱を立てて誘引しましょう」「3本仕立てにしましょう」と必ず書いてある理由が、これでようやく分かりました。あれは飾りではなく、折れるから書いてあるんですね。
実がなる前の誘引が、こんなに大事だったとは
そしてもうひとつ、悔やまれることがあります。折れた枝を、支柱に結んでいなかったことです。
言い訳をすると、7月の暑さで完全にやる気を失っていました。畑に出るだけで汗だくになる時期に、わざわざひもを持ってきて枝を1本ずつ結ぶ作業が、どうしてもできなかったんです。
誤解のないように書いておくと、ピーマンのほうも誘引はしていませんでした。ただ、ピーマンは倒れただけで枝が折れなかったので、あとから起こして支柱に結び直すことができたんです。パプリカは折れてしまったので、もう結び直しようがありませんでした。
同じようにサボって、同じように倒れて、やり直せたのがピーマン、やり直せなかったのがパプリカ。この差はやっぱり、実の重さと枝の細さなのだと思います。
誘引は、実がなってからやるものではなく、実が重くなる前に済ませておく作業でした。涼しい6月のうちにやっておけば、5分の作業で防げたはずです。同じように「暑いから今度でいいや」と思っている方がいたら、朝の涼しいうちにひもを1本だけでも結んでおくことをおすすめします。
もうひとつ、支柱そのものにも反省点があります。わが家は主枝と側枝を3本立てる「3本仕立て」にしていて、支柱もちゃんと立ててありました。ただ、支柱の長さが足りなかったんです。
パプリカがここまで背が高くなるとは思っていなくて、株が伸びるうちに、支柱の先端より上に枝が育ってしまいました。こうなると、一番よく茂って実がつく上のほうを、どこにも結べません。折れたのもその高さの枝でした。
パプリカは草丈が1mほどまで育ちます。支柱は長めのものを深めに挿すか、伸びてきたら継ぎ足せるタイプにしておくと安心です。「最初はこんなに長くなくても」と思う高さが、夏にはちょうどよくなります。
ちなみに豪雨への備えについては、梅雨前に書いた記事があります。今回はここに書いた「誘引」を自分でサボって痛い目にあった形です。

枝が折れたあと、株を抜くべきか迷った
正直、この時点で「もう抜いてしまおうか」と思いました。でも結果的には、抜かずに残しています。
折れ口が乾いていれば、様子を見て大丈夫
判断の決め手にしたのは、折れた部分の断面です。

数日たって見にいくと、折れ口は白っぽくカサカサに乾いていました。ジュクジュクしていたり、黒く変色していたり、いやなにおいがしたりすれば、そこから病気が入るサインなので切り落としが必要です。でも乾いてかさぶたのようになっていれば、株はそれ以上傷まないと判断できます。
- 断面が白く乾いている → 様子見でOK
- ジュクジュク・黒変・異臭がある → 病気が入るので、健康な部分まで戻って切る
切るときは晴れた日に、清潔なはさみで。雨の日や葉が濡れているときの作業は、切り口から菌が入りやすいので避けます。
わが家は乾いていたので、そのまま様子を見ることにしました。折れた枝の葉も、まだ青々としています。
残った実は、10%色づいていれば追熟できる
株を残したもう1つの理由は、まだ実がついていたからです。

今ついている実は、多くがまだ緑のまま。ただ、写真のようにオレンジ色に変わり始めたものも出てきました。「また虫にやられるくらいなら、緑のうちに採ってしまおうか」と迷ったのですが、調べてみると判断基準がありました。
- 表面の10%以上が色づいている → 収穫して室内で追熟できる。15〜20℃の明るい窓辺に置く
- 完全に真緑 → 追熟しても色は変わらない。ピーマンとして食べるか、木で色づくのを待つ
つまり、少しでも色がさし始めた実は、無理に木で完熟させなくていいということです。虫のリスクを考えれば、色づきの気配が出た時点で採って、家の中で赤くするほうが確実。これは今回いちばん実用的な発見でした。
先ほどの写真の実は、すでに半分近くオレンジ色になっています。この基準でいけば、もう採ってしまって大丈夫。前回はここで「あと2〜3日」と待って失敗したので、今度は同じ手には乗りません。
真緑の実は追熟しないので、無理に待たず、ピーマン代わりに炒め物にしてしまうのも手です。パプリカの緑の実は「グリーンパプリカ」として普通に食べられます。
それでも「もう作らない」と思った、正直な気持ち
ここまで原因と対策を書いてきましたが、当時の気持ちは「なるほど、次はこうしよう」なんて前向きなものではありませんでした。
100日待った実が虫に食われて落ちて、そのショックが冷めないうちに枝が折れて。もうパプリカは作らない、と本気で思いました。
それでも株を抜かなかったのは、まだ実がついていたからです。気持ちは折れていても、実がなっている株を引き抜くことはできませんでした。
家庭菜園をやっていると、こういう「やる気がゼロになる瞬間」って必ずあります。でも、あとから調べてみたら原因ははっきりしていて、しかもそのほとんどが次に防げるものでした。腕が悪かったのではなく、パプリカという野菜の性質を知らなかっただけ。そう分かっただけでも、少し救われた気がします。
まとめ:パプリカの失敗は「待つ期間の長さ」に集まる
今回の2つの失敗を振り返ると、原因はどちらも同じところに行き着きます。パプリカは、実を長く木につけたまま待つ野菜だということです。
- 実が落ちた原因はタバコガ。穴が1つなら中にまだ幼虫がいる。お尻が黒い尻腐れ症とは別物
- 色づき待ちの3週間が一番危ない。タバコガが増える8〜10月と重なる
- 追肥を1か月空けていた。パプリカは実を大きくするのも色づけるのも大食い。2〜3週間に1回が目安
- 枝が折れたのは実の重み+誘引不足。パプリカの実はピーマンの約4倍重く、しかも長くぶら下がる
- ピーマンは同じ豪雨でも折れなかった。腕ではなく野菜の性質の差
- 折れ口が乾いていれば株は残せる。ジュクジュク・黒変・異臭なら切る
- 10%色づいた実は室内で追熟できる。虫にやられる前に採るのも正解
次にパプリカを育てるなら、6月の涼しいうちに枝を全部誘引して、色づき始めたら防虫ネットをかける。この2つだけで、今年の失敗はどちらも防げたはずです。……と、まだ気力は戻っていませんが、来年の自分のためにここに書き残しておきます。
ちなみに、このパプリカを含めた5品目の「植え付けから収穫までの日数」を実測した記事もあります。パプリカだけが飛び抜けて時間がかかることが、数字でよく分かります。

そもそも夏野菜をいつ植えるか、という話はこちらにまとめています。


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